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「おい、坊主」
近くのテーブルで飲んでいたハゲのおっちゃんが声をかけてくる。
タンクトップ一枚といういでたちに全身を覆う筋肉の鎧、やらないかとでも続きそうな気がしたのは間違いなくオレの偏見。
「アリシアちゃん戻ってきてるぞ」
目を向けるとたしかに受付にアリシアさんの姿がある。話し込んでて気づかなかった。
わざわざ教えてくれるなんて良い人だな。
スキンヘッドのナイスガイに礼を言い受付の方に向かう。
去り際にもう一度クリスに昨日の礼を言い、何かおごろうかと申し出ると、
「気にしなくていいよ。でもどうしてもお礼がしたいって言うなら、ちゃんと強くなっていつかボクのクエストを手伝ってね」
だとさ。
よし、当面がんばるための目標はできたな。
「アリシアさん、おはようございます。」
「はい、おはようございますシロウさん」
あいさつをすますと、さっそく地下の訓練場に案内してくれる。
先行するアリシアさんの背中を追いかけていくと、たどり着いたのは第一訓練室と書かれたプレートが出迎えてくれる扉の前だった。
昨日イロさんに連れて行かれた第三訓練室に比べると、そもそも扉からしてデカイ。
「俺一人のためにこんな広い所を借りてもらってよかったんですか?」
なんかイヤな予感がするんですけど。
「ちょうどこの時間は空いていましたし、ここなら多少暴れても問題ありませんしねぇ」
「えっ、暴れるんですか?」
訊いてもニコニコ笑うだけのアリシアさん。イヤな予感はとどまるところを知らない。
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