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「そういえばイロさん昨日帰ってこなかったんですけど、どうしたか知ってますか?」
悪あがきで、関係ない話を振ってみる。
「イロちゃんなら昨日の夜遅くに緊急の依頼が入ったので、ギルドで休んでから朝早くに出かけましたよぉ」
「イロさん昨日魔力を使いきってるって言ってましたけど、大丈夫なんですか」
「回復は七割ってところですねぇ。まあ、イロちゃんならそれだけあれば十分ですけど、最近彩色空間の発生が多くて人手が足りてないんですよぉ」
「上で飲んでる人とかいっぱいいたと思うんですけど」
「あの人たちもいろいろ出張った後ですからぁ。年をとると魔力の絶対量は増えますけど、回復速度はどうしても落ちてきちゃいますからねぇ」
「そういうもんなんですか」
「そういうものなのですよぉ。若い子の回復速度は目を見張りますねぇ。なのでぇ」
アリシアさんが扉を押し開く。
その先に広がっていたのは、室よりも場とか館とかの言葉を使った方がしっくりくるくらいのスペース。
体育館とかをイメージするとわかりやすい。
「若い子は魔力を使いきって回復してのサイクルを繰り返すのが、魔力を使いこなす上での基本なのですよぉ」
「えっと、つまり?」
「魔法を発動する時の魔力の流れを感じてもらうためにも無の書の魔法で攻撃し続けますのでぇ、しっかり防ぐか避けるかしてくださいねぇ」
「ちょっ、アリシアさん。待ってくだ……」
「それでは、スタートぉ」
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