【第二章 銀嶺館】

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「それにしても、あんたが色無しだってのにも驚いたけど、そのうえ無の書の魔法までほとんど使えないなんてね」  そうなのだ。あの後アリシアさんに教えてもらいながら魔弾以外の魔法も試してみたんだが、どれも爆発オチだった。  何回吹っ飛ばされたことか。 「でも、暴発するってことは魔力の運用は間違ってないんだよね」 「ああ、アリシアさんもそう言ってた」  簡易魔法ってのは呪文を唱えて魔力を消費すれば発動するわけではないらしい。  目には見えないけど、魔力で魔法ごとに違う陣を描いてるんだそうだ。  より上位の魔法になればなるほど複雑になっていくそれは基礎魔法なら至極単純なもので、心器があるならなんとなくでこなせる程度。  クリスの言うようにオレもそこはクリアしていた。もしできてなかったら暴発すらせず何も起きないはずだし。  つまり、オレが失敗したのは用法ではなく、 「無駄に魔力を込めすぎてるってことでしょ」  用量ってことだ。 「それぞれの魔法ごとに許容魔力量は決まってるわ。それ以上に込めたら、きちんと現象の発動が出来ずに余った魔力が制御を離れて拡散する。ようするに力み過ぎなのよ、あんたは」  そうなんだよなぁ。オレ込める魔力量の調整とかできないし。でも、それを覚えようと思ったら、 「シローはまだこっちに来たばかりだしね。慣れれば抑えも聞くようになるよ」  やっぱり慣れるしかないよなぁ。 「それまで爆発し続けるわけか。オレの体もつかなぁ」
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