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「まあ、変態の歓迎会だから簡単に済ませたけど、本気を出したらもっとすごいのだって作れるんだから」
「ん? わりと張り切って作っていたじゃないか」
「イロさん!? なに言ってるんですか!」
「出向いていた依頼も急いで終わらせて、色々準備していただろう」
「わーわー!! 違う! 違うからね!!」
うろたえ続けるシエナを尻目にイロさんはオレの方に来て小声で話しかけてくる。
「シエナは料理が好きなんだ。しかし自分の分だけだとやる気が起きないらしくてね、今日はひさしぶりに料理をするお題目ができて喜んでいたんだよ」
「で、テンションあがって作りすぎた、と」
「そういうことだな。しかしこれくらいなら食べきれるだろう」
食べきれる、のか? コロッケを多めに買ってきたのは失敗だったかもな。
「それでモノは相談なのだが、時々でいいからシエナに料理を作ってもらってやってくれないか」
「なんか言葉がごっちゃになってややこしいですね」
「さっきも言ったがシエナは料理好きのくせに自分だけだと面倒がってまともに食事もとらないからな。しかし誰かの分を作れば自分のもついでに用意するんだ。普段はワタシが作ってもらっているがこのところ立て込んでいてな。代わりを頼まれてはくれないか」
「それくらいならお安い御用ですよ」
というか実質オレは楽できる要素しかないわけだし。
「では、よろしく頼むぞ。さてと」
話がまとまったところで、イロさんは席に着いて声を戻す。
「そろそろ食べ始めようじゃないか。せっかくの料理が冷めてしまう」
それを合図にシエナはおとなしく席に着き、オレは手を洗いにキッチンの流しへ向かう。
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