【第一章 赤の魔女】

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 リリアネス魔法学園。それは大国ベイルーンの首都リリアネスに存在する魔法使いたちの養成所である。  その歴史は優に300年以上にもおよび設備、人材、教育システムどれをとっても一流の国内最大級、全世界的に見ても間違いなくトップクラスの学術機関である、らしい。  伝聞系なのは今の説明はすべてパンフレットに書いてあったものだからだ。  でも、書いてあることに間違いはないだろう。なんたって、 「でけえな、おい」  オレの目の前には馬鹿でかい門が立ちふさがっていた。  縦に5メートル、横に10メートルは軽くこえる黒塗りの2枚扉とそれを囲む明らかに高そうな石のアーチ。  なんぴとたりとも寄せ付けない空気を漂わせている。いやまあ、学校である以上生徒が普通に出入りするんだろうけど。  今、門が閉ざされているのは春休みだからかね。  長期休暇とはいえ、敷地内に寮もある以上町へ続く門は開いてるかとも思ったけど、パンフによればここ以外にも小さな出入り口がいくつかあるらしいし、休みでも寮にいる生徒はそちらを使っているのだろう。 「ま、ちょっとついでに寄ってみただけだし、別にいいか」  門に背を向け、地図を片手に歩き出す
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