【第二章 銀嶺館】

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 なんて思っていたら、 「じゃあまずはこの料理ね。これに使ってる材料は……」 「ちょっと待てシエナ。教えてくれるのはありがたいけど、明日からでいいって」 「なに言ってるのよ、やると決めたからには早速始めるわよ! こっちでよく使う材料なんかは覚えておきなさい!」  なんかすげえやる気になってらっしゃるんですけど。 「シエナは料理が好きだと言っただろう。料理に関してはあの娘はやると決めたら徹底的にやるぞ」 「マジですか。ちょっと失敗し……」 「ちゃんと聞いてるの!」 「お、おう。もちろん聞いてるって」 「まったく。教えてあげてるんだからしっかり聞きなさい。そもそもあんたは……」  シエナが説教をはじめ、オレが適当に聞き流し、それに気づいたシエナがさらにヒートアップして、そしてイロさんが笑って俺たちのやり取りを見守る。  こうしてオレの銀嶺館での生活が本格的にスタートしたのだった。
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