【第一章 赤の魔女】

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 あの冬の日から2カ月と少し。色々あった。  あの後気づくと神社にいた俺は、首をひねりつつも家路についた。  夢だったという考えは浮かばなかった。こじんまりとした神社に一人立つオレの頭の上には、王冠が乗りっぱなしだったからだ。  しかもその王冠、邪魔だと思ったとたん消えるし、また見たいと思えばオレの頭の上に現れていた。  まだ理解は追いついてなかったけど、簡単に解ることではないってことだけは判った。  そしてそれから一週間ほどたって、リリアネス魔法学園の職員を名乗る人物が家にやってきた。  その時おこったオレの家族とのごたごたは割とどうでもいいので省略しよう。  ただ、うちの女性陣(母と妹)の適応力の高さと、魔法の実演を求められた職員さんが未開封のスチール缶を握りつぶしたことだけは述べておきたい。  女性の細腕だったことも加わり驚いたんだけど、中身が飛び散って大変だったんだ、あれ。  彼女が言うには、オレの王冠は【心器】と呼ばれるもので、魔力の結晶。つまりそれが出たということは、オレが魔力に目覚めたということらしい。  しかも、魔力に目覚めた人間はあの化け物がいた不思議空間に巻き込まれやすくなるのだそうだ。だから自衛の力をつけるため魔法を学ぶ必要があるんだと。  そして、実は俺たちの世界と彼女たちの世界は協定を結んでいるらしい。  日本もその協定に賛成している国だそうでリリアネス魔法学園を出れば、高卒の資格はもらえるそうだ。
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