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声がした方に目を向けると、そこにはオレたちと同年代くらいの少女が立ちつくしていた。
肩に届かないくらいで切りそろえられた透きとおるような淡い水色の髪と同色の瞳を見開くその姿はどこか儚げだ。
シンプルなワンピース姿もあいまって失礼を気にせず言うなら幽霊っぽい。おどろおどろしいホラー系じゃなく、夕日をバックに微笑んで消えそうな系の。
でも、そのか弱そうな印象とは反対に、胸は元気いっぱいに主張してらっしゃるけどな。
その足元には小さめの長細い小箱が転がっている。たぶんさっきのはそれを落とした音だったんだろう。
で、どちらさん?
「ノエル!?」
驚きの声を上げたのはシエナだ。
「あのね、ノエル。これは違うの……」
「大丈夫ですよ、お姉ちゃん。分かってます」
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