【第三章 異世界生活】

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 お姉ちゃん?  言われてよく見てみると、たしかにこの娘とシエナの顔立ちはそっくりだ。  ただし同じ水色の瞳だけは、かたや勝気、かたや儚げと印象がまるっきり違うけど。  目というのは人の印象において大事な要素だ。だからその目の感じが全然違った以上、ふたりが似ていることにすぐ気がつかなくても仕方ない。  主張の激しい双丘に目が行っていたなどという事実は確認されておりません。  シエナの妹は足元に転がっていた小箱を拾い上げ、包みを破って蓋をあける。  中から姿を現したのは一本の包丁だった。……包丁? 「いつもがんばってくれてるお姉ちゃんへのお礼に持ってきたものが、さっそく役に立ってくれそうですね」  えっと、この状況で包丁がどう役立つんですかね。というか、なんでオレに熱い視線を送ってくれているのでしょうか。 「お姉ちゃんにたかる害虫はわたしが駆除します!!」 「オレを料理してもおいしくはないと思うおっとぉ!!」  本気で刺してきたよ!  しかも肋骨を避けるために包丁を横にして狙うあたり、マジでとりにきてるよ、この娘!
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