【第三章 異世界生活】

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 こんな真昼間のギルドの酒場とか、人の多いところで何考えてんだ。 「ちぃ、さすがは害虫。すばしっこいですね!」  横に跳んでかわしたオレを追って、包丁を横なぎに振るうシエナの妹。  ヤバッ。初撃は何とか避けたけど、机がジャマでかわしきれな…… 「ッ!!」  とっさに前に出した腕に迫った刃物は、肌を切り裂く寸前で何かに阻まれるように止まっていた。  へ? どうなってんの? 「ノエル!!」  シエナの怒声に妹の動きが止まる。 「それくらいにしておきなさい」 「でも……」 「ノエル?」 「うッ。……はい、お姉ちゃん」  渋々といったていでシエナの妹は放り捨てた小箱を拾いに行く。  いきなり包丁を向けるのはどうかと思うが、天衣無縫すぎる妹を持つ身としては姉にちゃんと従う点は評価しようじゃないか。
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