【第三章 異世界生活】

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 シエナは妹がおとなしくなると周りに頭を下げ始めるけど、みんな気にするなと笑って食事を続けている。  というか気にしてる余裕がなかったけど、ちょっと距離を取ってさっきの騒ぎを肴に酒飲んでた人たちもいるようだ。  あげくの果てには痴話ゲンカはもう終わりか坊主、なんてからかいの言葉を投げてくる始末だし。  マジで勘弁。聞かれたらまた襲われそうだ。 「てか、包丁振り回してるやつがいるのに落ち着きすぎだろ」  民度が低すぎるのもアレだけど、高すぎてもそれはそれで恐いぞ。 「シエナさんの妹さん、ノエルさんだったかな。あの娘は魔力をこめてなかったからね」  緑のしっぽを頭の後ろでひょこひょこ揺らしながら、クリスが寄ってきて説明してくれる。 「いや、魔力なんてなくても刃物は危ないって」 「魔力障壁は魔力を込めた攻撃じゃないとまず突破できないんだよ。みんなすぐに無の書1番を発動させたから魔力のこもってない刃物を気にしなかったってわけ。シローも魔力障壁を張ってたからケガしなかったでしょ」 「あー、なるほど」  それで、腕に当たる前に包丁が止まったのか。
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