【第三章 異世界生活】

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 ここ最近、オレの心器である王冠は寝るとき以外は出しっぱなしにして、魔力障壁を維持するようにしている。  周りの視線を気にしつつも、早く魔力になれるためにやってたことが功を奏したってわけか。  正直、『空白獣( ブランカー)』にしろアリシアさんにしろ障壁の上からでもボコボコにされてきたから、そんな便利だとは思ってなかったわ。  クリスからレクチャーを受けていると、小箱を拾って包丁を片付けた妹の手を引いてシエナがやってくる。 「さっきは妹がごめん。ほら、ノエルあんたもちゃんと謝りなさい」 「……ごめんなさい」 「ああ、うん。別にいいって。ケガもなかったし」  そう、まったくもって気にしていない。寛容な心を持ってすべてを水に流そうじゃないか。  だから、不服そうに小箱を握りしめるのはやめていただけるとありがたいです。  不満げに頭を下げる妹を見てシエナはため息をこぼし、そのまま妹の手の中にあった小箱をひょいと取り上げた。 「これはありがたく使わせてもらうわ。ほら、用が済んだんだから今日はもう帰りなさい」
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