【第三章 異世界生活】

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「そんなとこでなにやってんだ、包丁娘」 「だれが包丁娘ですか!!」  日陰から日向へと踊り出し、白いワンピースと同じくらい色の薄い肌がまぶしいその人は、言うまでもなくシエナの妹だった。 「失礼なことを吹聴しないで下さい、害虫!」 「お前の方がよっぽど失礼だろ!」  オレはまだ人扱いしてるけど、おまえのはもう人ですらねえよ。 「お姉ちゃんに近づく不届き者は虫で十分です!」 「不届き者ってなんだよ!」 「お姉ちゃんとひとつ屋根の下なんてうらやま……いえ、男の人がそんなに近づくのは不潔です!!」  え、なに、要するにこいつシエナと一緒にいるオレがうらやましいのか。  一定の距離を保ったまま顔を真っ赤にしてにらみつけてくるその姿は、大事なおもちゃを取られまいとする子供みたいでほほえましく思えてくる。  うちのバカ妹も昔はオレが他のやつとばっかり遊んでたら、あんな顔してくれてたんだけどなぁ。
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