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 何年ぶりだろうか。  数年前にジルヴィア中央国立学園都市に行って以来、ナターシャが里に帰ってくるのは約五年ぶりだ。  久しぶりに見る里はやはり昔とは変わっていて、知らない場所に来ているようだ。 「早くおばさんたちに会おう。ナターシャに会えるのを首を長くして待ってるんだから」  ジルに急かされるようにナターシャは、一つ息を吐いて玄関のドアを開ける。  声を上げようとした瞬間、奥から慌ただしい音が響いてくる。 「ナターシャ、お帰り!」  奥から出てきたのはナターシャの両親だ。 「会いたかったわ、ナターシャ!」 「母さん、重い……」 「これは愛の重さよ! この五年間全く連絡も何もない! お母さんたちがどれだけこの日を楽しみにしてたか!」  ナターシャを力一杯抱きしめているのはナターシャの母親だ。  若草色の髪に、紅藤(べにふじ)色の瞳。満面の笑みを浮かべてナターシャを見つめている。  ナターシャは呆れたような表情を浮かべながらも彼女の好きにさしている。腕の中で身動きもせず、母親の背後にいる父親を見上げた。 「ジルから手紙は来ていたけれど、おまえから来ないからね。ぼくも母さんもとても心配していたんだ」  そう言った男はナターシャの父親で、どことなくナターシャに似ている。灰白色の髪にルビーのような真っ赤な瞳で、精巧(せいこう)な顔立ちをしている。 「ライラ、そろそろ離れたらどうだい? 客人もいるようだし」 「あら、あなた……」  ライラ――ナターシャの母――は、ナターシャの後ろで静かに佇むクルトを見た。 「おじさん、おばさん。彼はクルト・ビットナー。火竜族(ドラフィア)で、元両性体だよ」 「きみがそうか。ぼくたちはきみを歓迎するよ。さあ、立ち話もなんだからみんな中に入りなさい」  父親に促されてナターシャたちはリビングに入った。そこには二人の男女がソファに座っていた。  少し長めな若緑色の髪を後ろに一つで括り、紅藤色の瞳の男性は、口元に薄らと笑みを浮かべている。  その隣には黄金色の髪を腰まで伸ばし、青味掛かった瞳をしている女性が座っている。彼女の肌はクルトほど浅黒くはないが、小麦色をしており、光に当たると少しばかり輝く。 「ウィル、アスティア。ジルとナターシャが帰ってきたわよ! それからお客様もね!」 「お帰りなさい、二人とも」 「ただいま」 「ただいま。父さん、母さん」
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