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「……ぼく、何すれば、いい?」  ナターシャの顔を覗き込むようにしてラディは言う。ラディの尻尾は忙しなく左右に振り、それが今のラディの思いを表している。 「……尻尾は口ほどにモノを言う、か。ラディさ、確かエステヴァン先生の授業選択してたよね。あの先生の授業どう?」  最初の呟きはかなり小さな声だったせいかラディに聞かれることはなく、ラディは首を傾げながらエステヴァンの名前に反応して尻尾がピンと立った。 「エステヴァン先生、とっても授業分かりやすい。それに、おもしろい。この間、鳥族(フォーガ)について、知らないこと、教えてもらった。鳥族の子も、知らないことだった。その子が、「親に聞いたらその通りだった!」って言ってた。他にも――」 「そうか。ラディはエステヴァン先生が好きなんだな」 「うん、大好き……」 「ぼく、その先生の授業取ってないから話をしたことがないんだ。だから、エステヴァン先生と話をしてみたいんだよ。だから、ラディ、お願いなんだが」  そう言ってナターシャはラディの左目にかかっていた髪をそっと払い、左耳に内緒話をするように口を寄せた。 「あの先生との仲、取り持ってくれるよね?」 「う、うん! ナターシャ、先生、好き、なの?」 「うん? そうだね、話をしてみたいほどには好きかな。今日の放課後、図書館で会えるように、ラディに頼みたいんだ」  ナターシャは左耳に寄せていた口を話すと、にっこり微笑んでラディを見つめた。 「お願いな?」  ラディはこれでもかと言うように首を縦に振り、尻尾も左右に振り、体中で意思表示をした。 「ありがとう。そろそろ休憩も終わるし、戻るか」  二人は地面に広げていたお昼を片付けて、それぞれ教室に向かった。  次の授業は選択授業で、途中で二人は別れる。 「それじゃ、先生によろしくな」 「う、うん。あとで、連絡、する」  ラディはエステヴァンの授業へ、そしてナターシャはラザエルの授業へ向かった。
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