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マルスは立ち止まり、
「ごめん……皆に守られてるのに……」
カリヌに謝った。
「ううん! なんて言うか……」
松明の火の後ろで燃えあがり、カリヌの顔が見えないのに、頬を赤く染めているのが分かった。
マルスはカリヌに近付こうと歩き出した時、
「あー!! なんでマルスと歩いてんだよカリヌ!!」
ダインが怒った顔でやって来たではないか。
「よっダイン、実はカリヌが家に来たから……」
マルスはすぐ、説明をしようとしたが、
「うるせぇよ! 後はおれがカリヌを送るから、とっとと里から出ていけ!!」
何故か凄い剣幕で怒鳴り散らしてきた。
でもマルスは、
「あの時、出ていくって言ったら邪魔したくせに?」
ダインの変わりようについて聞いてきた。
「違う! おれがわざと負けてやったんだ!!」
腕を組んで偉そうに言うダインだが、
「じゃあ、98回もオレに負けたのは?」
勝負で、そこまで負けているダインに、わざとニヤリと笑った。
完璧悟っているマルスを見て、
「だぁぁうるせぇぇぇ!! 来いよ、カリヌ!!」
キレたダインは、カリヌの腕を引っ張って行き、カリヌはマルスを見てそのまま歩き出した。
その途中で、
「ちょっと! 痛い! ダインって本当に力任せだから嫌い!」
先程の初初(ういうい)しさのあった感じは何処へやら、ダインに対して、強気な姿勢をとり、怒り出した。
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