第1話 出発

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  マルスは立ち止まり、 「ごめん……皆に守られてるのに……」 カリヌに謝った。 「ううん! なんて言うか……」 松明の火の後ろで燃えあがり、カリヌの顔が見えないのに、頬を赤く染めているのが分かった。 マルスはカリヌに近付こうと歩き出した時、 「あー!! なんでマルスと歩いてんだよカリヌ!!」 ダインが怒った顔でやって来たではないか。 「よっダイン、実はカリヌが家に来たから……」 マルスはすぐ、説明をしようとしたが、 「うるせぇよ! 後はおれがカリヌを送るから、とっとと里から出ていけ!!」 何故か凄い剣幕で怒鳴り散らしてきた。 でもマルスは、 「あの時、出ていくって言ったら邪魔したくせに?」 ダインの変わりようについて聞いてきた。 「違う! おれがわざと負けてやったんだ!!」 腕を組んで偉そうに言うダインだが、 「じゃあ、98回もオレに負けたのは?」 勝負で、そこまで負けているダインに、わざとニヤリと笑った。 完璧悟っているマルスを見て、 「だぁぁうるせぇぇぇ!! 来いよ、カリヌ!!」 キレたダインは、カリヌの腕を引っ張って行き、カリヌはマルスを見てそのまま歩き出した。 その途中で、 「ちょっと! 痛い! ダインって本当に力任せだから嫌い!」 先程の初初(ういうい)しさのあった感じは何処へやら、ダインに対して、強気な姿勢をとり、怒り出した。  
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