第1話 出発

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  マルスは畑を見渡した後、門の前まで行くとアレスが立っていた。 「あれ? なんでいるのアレス村長?」 「お前を見送る為だ。 畑を見てきたのか? まったく、段々くそムカつく奴に似てきたな……」 多分エブラの事だろう。 アレスは自分の胃を擦っていた。 「アハハ、野菜そろそろ収穫出来るから頼みます。 それじゃいってきます」 分かって作り笑いするも、野菜の事を頼み、出ようとすると、 「あぁ、勝手に捕まってココを教えんなよ」 下手に何処かの教会に捕まって、拷問でバンパイアの里を教えさせ、バンパイア狩りの習慣がまだ盛んな時代だ。 里の外へ出たがらないのはその為で、マルスの心配よりもそっちの心配が強い。 「教えるか!! まずはアダム神父に会って、情報収集してディダを探します」 マルスはアレスの心配を知っているからこそ、強く言った。 その後で、もっとも信頼を寄せるアダムに会いに行くことにした。 「まったく、とっとと諦めてココに住めば良いものを……」 「諦めないし、早すぎだし」 マルスはアレスに突っ込みを入れた。 「んじゃ頑張って探しに行ってこい!」 アレスはマルスの肩を叩き、 「うん、いってきます!」 笑顔でマルスは手を振りながら走り出した。 マルスが見えなくなってから、 「本当にティーアにも似てきたな」 そう笑って、アレスは自分の家へと帰っていった。  
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