第1話 出発

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  マルスは大きな街に着いた。 とても大きく、人々は賑わい、道で商売している人達に、馬車もひっきりなし動いていた。 その中心にあるのは、城ではなく大きな教会だ。 マルスは教会の門の前にいる近衛兵に、アダムがいるか聞いている時だ。 「……? えっ……もしかして……マルス!?」 女性の驚く声が聞こえ、振り向くと、 「アリス!? 全然変わんねぇ!!」 そこに居たのはシスター姿のアリスだ。 しかしそれ以外はまったく変わっておらず、びっくりするマルスに対して、 「第一声がそれかい!!」 怒ったアリスがマルスにチョップを喰らわせた。 ある応接室、アリスに通されるマルスの頭にはたん瘤があったが、座って待っている間に消えていた。 そして、応接室の扉が開き、マルスが立った。 入ってきたのは、もちろん、 「……マルス? 本当に大きくなったなぁ! 1年ぶりか? 里で会ったきりだったが、1年でここまで成長するなんて!」 あのアダムだ。 6~7年も経っていたので、アダムの顔に多少シワがついていた。 嬉しそうにマルスを抱き締めるアダムに、 「アダム神父、お久しぶりです!」 マルスも笑顔で挨拶した。 アダムが前の席に座った処で、 「もう、かれこれ約7年位の月日が流れたが、ディダの行方は分かっていない」 今の状況を話す。 実はマルスをバンパイアの里に預けた後、独自でディダを探していたのだ。 「そうですか……すいません、もしかしたらアダム神父が知っていると思ってしまい……」 落ち込むマルスだったが、もしかしたらアダム自ら見付け出していると思い、やって来たのも1つの目的であり、本来の目的は、 「いや、噂だけなら色々聞いているが、私独自での信憑性ある噂を聞くかい?」 アダムは色々ある噂の1つを口にした。 そう、これが本来の目的だ。  
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