第1話 出発

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  嘘でも本当でも、ディダを見付けるためなら、藁をも掴む思いで来たのだ。 アダムはゆっくり口を開き、 「ここから少し遠い小さな国だが、同じものを祈る者達だ。 しかし、宗派の違うことから、いざこざが絶えない。 ある時、アリスが移動する商人から噂を聞いたそうだ。 そこの王が白龍を地下に閉じ込めているとね」 もっとも信憑ある噂を話した。 その噂を聞いたマルスは、 「……なんか、前にディダの過去を聞いたのと似ているようだけど、とりあえずその国に行ってみようと思います!」 立ち上がって、いざ向かおうとした。 何処かマルスが焦りを感じている様に見え、 「待ちなさい、気持ちは分かるが、まず宗派の違う所に行くんだ。 下手をすれば命に関わることだってあるんだぞ」 アダムが止めに入った処で、 「そ、そうですね! すいません、とにかく真相が知りたくて……」 マルスは冷静に戻り、もう一度座り直した。 「分かっている、しかし、私はまだ何処の国かとか地図すら見せて無いのに何処へ行くのか?」 「あ……!! そ、そうでした……!!」 その言葉で恥ずかしくて顔を真っ赤にしたマルスは、手で顔を隠してちっさくなりました。 「まぁ、とりあえず少し待ってなさい、地図とそこの宗派について話すから」 アダムはマルスの様子を見て困った笑顔で、棚にしまっていた地図を取り出した。  
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