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「隊長! だったら良いですね!! 今から……」
マルスがウキウキしながら隊長と呼んでいたのは、ダインの父だ。
「ダメだ!! 明日からにしなさい!!」
隊長であるダインの父は、喝(かつ)を入れる様に一言で、
「は、はい! じゃあ、明日の明朝にココを出ます」
マルスは急ぎたい気持ちを引き締めた。
「で、出ると行っても血はどうするんだ?
どうせ血が足りなくなったら、ココへ戻って来るんだろ?」
途中から会話に割り込む様に入ってきたのは、
「アレス村長! 居たのでしたら、声を掛けてくださいよ」
そう、ダインの父の目の前にいる村長こそ、アレスだ。
彼はアレス・アンダー・バンパイア、ここの里の長(おさ)だ。
「それは……でも、夜になれば父さんや、父さんの仲間の人達が来てくれるって」
マルスはアレスに対して緊張していた。
今まで育ててくれた人でもあるし、マルス自身バンパイアの血しか受け付けられない体質もあり、色々と複雑に絡んでいた。
「信用できん! 欲しくなったら戻って来い!」
アレスが怒って、また戻って来るように言った。
実は亡きティーアの元婚約者で、結婚直前にエブラに奪われた形だ。
訳あってマルスを預かるも、何処と無くティーアの面影もあり、長年いたせいか可愛く感じているが、
「え~ヤダよ!!」
「良いから!!」
やはりエブラの遺伝子が強い様で、アレスはムカつきつつも強く言い放った。
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