第1話 出発

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  「隊長! だったら良いですね!! 今から……」 マルスがウキウキしながら隊長と呼んでいたのは、ダインの父だ。 「ダメだ!! 明日からにしなさい!!」 隊長であるダインの父は、喝(かつ)を入れる様に一言で、 「は、はい! じゃあ、明日の明朝にココを出ます」 マルスは急ぎたい気持ちを引き締めた。 「で、出ると行っても血はどうするんだ? どうせ血が足りなくなったら、ココへ戻って来るんだろ?」 途中から会話に割り込む様に入ってきたのは、 「アレス村長! 居たのでしたら、声を掛けてくださいよ」 そう、ダインの父の目の前にいる村長こそ、アレスだ。 彼はアレス・アンダー・バンパイア、ここの里の長(おさ)だ。 「それは……でも、夜になれば父さんや、父さんの仲間の人達が来てくれるって」 マルスはアレスに対して緊張していた。 今まで育ててくれた人でもあるし、マルス自身バンパイアの血しか受け付けられない体質もあり、色々と複雑に絡んでいた。 「信用できん! 欲しくなったら戻って来い!」 アレスが怒って、また戻って来るように言った。 実は亡きティーアの元婚約者で、結婚直前にエブラに奪われた形だ。 訳あってマルスを預かるも、何処と無くティーアの面影もあり、長年いたせいか可愛く感じているが、 「え~ヤダよ!!」 「良いから!!」 やはりエブラの遺伝子が強い様で、アレスはムカつきつつも強く言い放った。  
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