第1話 出発

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  「分かったよ……。 週1には戻るようにするよ……」 今まで強気なマルスも、さすがにアレスには逆らえず、諦めて戻ってくる事を約束した。 「よし! それじゃ、皆の飯を頼むぞ」 アレスちょっと満足気でした。 仕方がなく、 「分かったよ、いつもの感じな。 言われると思って下拵(したごしら)え……」 食事の準備に戻ろうと、背伸びしながら歩き出すと、 「それ、メリーヌがマルスがした下拵えを、他の主婦達に分けちゃってたぞ」 まさかのアレスの発言にマルスが固まった。 村長宅にマルスが戻ると、 「アラッ? もう戻って来たの?」 冷たい言葉が返ってきた。 「また戻って、隊の皆に食事を出すんだ。 で、それの為に下拵えしたのですが、メリーヌさん……?」 マルスがその冷たい言葉に我慢しながら、アレスが言っていたのを言わずに、恐る恐る聞いた。 「それでしたら、もう食事が出来てますので、持って行って下さい」 この60代女性がメリーヌだ。 村長の使用人で、マルスに対して未だに疫病神扱いする。 それでか、いつも冷たい言葉しかマルスに言わなかった。 やはりバンパイアの血しか受け付けないマルスを毛嫌いしているのだ。  
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