第1話 出発

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  そこは、もう馴れたのか、 「なんだよ、出来てるじゃん……あぁ! でも、オレが下拵えしたの勝手にあげたってアレス村長から聞いたぞ!」 マルスは先程アレスから聞いた事を口走った。 「村長に言われたのですね。 下拵えしたのは、時間が経つと変色して味も落ち、下手すれば中毒が起きます故(ゆえ)に、主婦の皆様に分けました。 後は、私がどうせまた頼まれるであろう、隊の食事を時間に合わせて作らせて頂きました。 また遅くなられて、村長の地位が、落ちてしまわれてはいけませんので」 メリーヌはことの事情とばかり話、さっき出来たと思われる料理をテーブルに置いた。 「あ、ありがとうございます」 キツイ言われ方だが、やってもらった身なので礼とお辞儀をしたが、 「そう思うなら、早く運びなさい。 後は今日中に掃除もお願いしますね」 やはり冷たい言葉が返ってきた。 「は、はい……」 この時マルスの心の底で、 『よし! 早く出よう!』 メリーヌの冷たい言葉に本気で思いました。  
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