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夜、満天の星空に目を奪われそうな夜空だが、あちこちに松明が灯っており、意外と日のバンパイア達は酒盛りや世間話に花を咲かせ、楽しんでいた。
マルスはカリヌを家まで送ろうと一緒に歩くが、一言も話さなかった。
カリヌは一緒に歩くだけでも嬉しそうにしていると、
「そういえば、マルス君って少し笑うようになったね」
何かを思い出して笑っていた。
「あぁ……あの頃をはっきり思い出す。
とにかくお前ら全員から虐められていた。
吸血鬼が来たぞって……お前らも吸血鬼だっつぅのに」
当のマルスは、嫌な思い出を聡明に思い出し、遠い目をした。
皆が遊んでいる中、たまたまマルスが通りかかると、いつもそうやって虐められていた。
「で、でもね! 皆本当は、マルス君と仲良くしたがってたんだよ!!」
カリヌが慌てフォローに回るも、
「大人、大人にとってはオレの存在自体意味嫌っている。
バンパイアの血しか飲めれないオレは、バンパイアにとって最大の敵になりうる存在として」
落ち込み出すマルスは、少し自分を情けなく感じた。
せっかくカリヌがフォローしてくれているのに、嫌味な感じで溢した言葉は、戻せる程簡単なモノではないのだ。
しかし、カリヌはそれすらを掬(すく)い取り、
「それでもね……マルス君が持ってきた野菜の種や果物の種のお陰で、少しゆとりある生活が出来る様になったんだよ。
だから皆、マルス君に感謝して、まだ認めてない人もいるけど、今は違うよ」
マルスの事を理解しているからこその言葉だ。
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