第1話 出発

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  夜、満天の星空に目を奪われそうな夜空だが、あちこちに松明が灯っており、意外と日のバンパイア達は酒盛りや世間話に花を咲かせ、楽しんでいた。 マルスはカリヌを家まで送ろうと一緒に歩くが、一言も話さなかった。 カリヌは一緒に歩くだけでも嬉しそうにしていると、 「そういえば、マルス君って少し笑うようになったね」 何かを思い出して笑っていた。 「あぁ……あの頃をはっきり思い出す。 とにかくお前ら全員から虐められていた。 吸血鬼が来たぞって……お前らも吸血鬼だっつぅのに」 当のマルスは、嫌な思い出を聡明に思い出し、遠い目をした。 皆が遊んでいる中、たまたまマルスが通りかかると、いつもそうやって虐められていた。 「で、でもね! 皆本当は、マルス君と仲良くしたがってたんだよ!!」 カリヌが慌てフォローに回るも、 「大人、大人にとってはオレの存在自体意味嫌っている。 バンパイアの血しか飲めれないオレは、バンパイアにとって最大の敵になりうる存在として」 落ち込み出すマルスは、少し自分を情けなく感じた。 せっかくカリヌがフォローしてくれているのに、嫌味な感じで溢した言葉は、戻せる程簡単なモノではないのだ。 しかし、カリヌはそれすらを掬(すく)い取り、 「それでもね……マルス君が持ってきた野菜の種や果物の種のお陰で、少しゆとりある生活が出来る様になったんだよ。 だから皆、マルス君に感謝して、まだ認めてない人もいるけど、今は違うよ」 マルスの事を理解しているからこその言葉だ。  
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