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からまわり*ファイアーワークス
テレビから快音と、群衆が挙げる声援が響き渡る。白球を空高く、バットで弾き飛ばした青年が足取りも軽やかにダイヤモンドを駆け抜ける。日焼けした肌と、その顔が浮かべる笑みが非常に爽やかだ。
「同い年とは思えないよなぁ、こいつら」
俺はそんなことを呟きながら、手元のかき氷アイスキャンディをかじる。俺は別段野球が好きという訳ではないが、地元の高校の試合が入ると、その高校の野球部と知り合いというわけでもないが応援したくなるものである。
「ま、俺はあんな炎天下でスポーツなんて御免だけどな。冷房が利いた部屋の中でアイス食って野球観戦。これぞ夏って感じ」
俺はそこまで言うと、グラスの氷が揺れた涼しげな音で我に帰る。視線を上げると、黒髪のショートヘアの少女がどこか呆れたような目で俺を見つめていた。
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