からまわり*ファイアーワークス

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そして時は流れ一年後。美華は結局東京の大学に行くことを断念したものの、地元ではトップの国公立大学に合格し、エリート街道を爆進中。俺はランクこそ低いもののなんとか私立大学に合格した。これも一重に、秋頃から美華が勉強の面倒を見てくれたおかげだろう。 季節は再び夏となり、俺は河川敷に立っていた。湿度も高くヤブ蚊が舞って鬱陶しいことこの上ないが、それでも俺は立ち続けていた。久しぶりに、あいつに会うために。 「…お待たせ。楓紀」 そして聞き覚えのある声がしたので振り返ると、そこには朝顔の刺繍が入った藍色の浴衣を着た、艶やかな雰囲気すら感じる俺の幼馴染みがいた。 「美華…。あれまぁ、暫く見ない間に綺麗になっちゃって」 「…ふふ。調子が良いんだから」 「お世辞なんかじゃ無いって。…なんか、Tシャツにジーンズな俺が不釣り合いに思えてくるぜ」 「そんなこと無いよ。似合ってる似合ってる」 今の美華に言われても、お世辞にしか聞こえない。 「お、俺の格好はいいから!早く行こうぜっ」 「えっ!?格好のことを言い出したのはそっち…って、ちょ、ちょっと待ってぇ…!」 そして俺は美華の手をとり、河川敷に群がる雑踏の中に飛び込んでいった。それと同時に、俺達の頭上では爆裂音と共に、鮮やかな大輪の炎の花が咲く。それを見上げる彼女の表情は、俺にはそんな花火よりも輝いて見えた。
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