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数分後、俺達はコンビニに行った後再びこの公園に戻ってきた。俺の手には中型のビニール袋が一つ握られている。
「いやぁ、やっぱりコンビニって便利だな。まさかこんなものまで扱ってるとは思わんかったわ」
「夏になるとよく置いてあるでしょ」
「あ?そうだったっけ。雑誌コーナーか飲み物コーナーにいつも直行してるからきづかなかったぜ」
がさっ、と袋から取り出したのは花火セットが一袋。そして百円ライターが一本である。俺はそれを思いきり開け、一本を取り出してライターであぶる。暫くすると、その先から眩しい輝きと共に赤い火花が散った。激しく燃える音と火薬の香りが、なんとも夏らしい。
「うおお…!やっぱ幾つになっても花火はテンション上がるな!」
「あまり騒ぎすぎたら駄目だよ。近所迷惑」
口ではそう言う美華だが、緑の閃光を放つ手持ちぶさた花火を見る口元は少し緩んでいる。俺がさっき会った時よりはずっと生き生きとしているように感じた。
「…でも懐かしいな。最後に花火なんてやったのいつだったっけ」
「…私も、覚えてないかも。花火大会もあまり行かなかったし」
「お前はもう少し外で遊んでもバチは当たらないと思うぜ」
「だからこうして遊んでるでしょ?楓紀と」
「そ、それも…そうだな」
そう言った美華の顔は、赤い花火のせいか少し赤らんで見えたという。
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