司書のお仕事

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「改変開始!!五番棚、『桃太郎』です!!」 突然鳴り始めた警報に、白い制服を着た司書達が慌てて動き出す。 すぐに入口から一冊の本が運び込まれる。 その本からは黒々とした霧のようなものが漏れだしていた。 長期にわたって保存されてきた原書には悪魔が憑きやすい。 『魔書』―――『言魔』と呼ばれる悪魔によって、話をめちゃくちゃにされた本の呼称である。 ここ、『聖神中央図書館』は世界中の本の原書を保管する図書館である。 沖縄と同じくらいの広さを持つ島一つを丸々図書館にしている。 通称『図書島』である。 そして、ここで行われているのが――― 「んじゃ、いってきます」 本を持つ白服の司書とは対称に、黒服を纏った男が、黒いオーラを発する『桃太郎』の原書に触れる。 その瞬間、男は本の中に吸い込まれるように姿を消した。
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