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母親が私の父と結婚したのは、祖父が亡くなる一年前の事でした。

私の父は熊本のとある名族の出身です。彼の曾祖父は戦前の農商務卿の補佐に就いていて、天皇から官位をいただいていました。

そのような家の中でも、私の父は幼い頃より秀才の誉れ高く、国立の大学に入った後、東京の銀行に就職しました。

母親と出会ったのは入社して三年程経ったときだと聞いたことがあります。

私の祖父も父を気に入ったらしく、二人の婚約をすぐに了承した様です。

長女の結婚で気が抜けたのでしょうか、結婚の式が終わった数日後、祖父は突然病に倒れました。