わたし

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わたしは、言葉を棄てた。 この想いが貴方に届くなら、私はそれさえも厭わない。 貴方がくれる尊い言葉に応える術は持たないけれど。わたしはその代わりに、この瞳に指先にありったけの気持ちを込める。 ――『貴方を愛してる』 今日もわたしは瞳で囁く。 私の不埒な唇が、二人の秘密を零してしまわないように、 きつくきつく鍵をかける。 それがわたしの永遠の償い。
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