日常

2/5
172人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「ミオちゃんー!!御指名よ!!」 「はい、今行きます!!」 甘い香水と身体のラインが出るロングドレスを身に纏い、周りに居る男達に笑顔を振り撒きながらお酒を喉に流し込む。 そんな夜の世界で働く私は、十年前まで『お嬢様』と呼ばれるような存在だった。 本名、綾瀬美桜(アヤセミオ)。 実年齢は28歳だけど、お店では5歳サバを読んで23歳。 昔から童顔だと言われていたから、誰にも気付かれる事なく過ごしてる。 知らない男性に笑顔を振り撒くのも、浴びるようにお酒を飲むのも全てはお金のため。 お店ではナンバー1だと言われているけど、私にはどうでもいい事。 お金を稼げるなら何でもいい。 「ミオちゃんは今日も可愛いね。」 「ありがとうございます。西嶋会長のような素晴らしい方に褒めていただけるなんて、とても光栄です。」 「ははは!!ミオちゃんは客を喜ばせる天才だね!!何か困った事があれば、いつでも私に言うんだよ?ミオちゃんのためなら何でもしてあげるからね?」 「会長、ありがとうございます。」 私の身体を厭らしい目付きで見ているこのオジサンは、一流企業の会長でいつも私を指名して口説く。 私の身体を手に入れるために甘い言葉を囁く、優しい紳士の仮面を被った獣。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!