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「いただきます。」
今日の夜食は、和風パスタとサラダと野菜スープ。
料理は得意だから、いつも自炊してる。
一人で御飯を食べるのは淋しいけど、パパとママの写真を眺めながら食べると、三人で食事しているみたいで、少しだけ幸せな気分になる。
「ごちそう様でした。」
食器を洗って片付けを済ませ、録画しておいたドラマを観る準備をしてベッドに入り、背もたれに身体を預ける。
病院から処方されている薬を飲み、ドラマの物語に集中する。
十年前の『あの日』から嫌な夢を見続けているから、薬を飲まないと眠れない身体になってしまった。
いつか薬無しでも眠れる日が来るといいな……。
そんな夢みたいな事を考えていた私の目に飛び込んできたのは、ドラマの中で別れ話をしながら涙を流している男女の悲しい姿。
あの雪の降る夜の私とあの人も、ドラマの中の男女のように悲しい姿だったのかな?
あの人が幸せに生きているという事は、風の噂で聞いて知っている。
二度とあの人の温もりを感じる事は出来ないけど、私を愛してくれたあの人の幸せを心から願ってる。
薬が効いてきたのか、ドラマのラストシーンを前に瞼が重くなってきた事を感じ、ベッドに身体を沈めて眠りについた。
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