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いつの間にタクシー乗り場に着いたのかは分からないけど、考え事をしながら歩いていた私の目の前には、数台のタクシーが並んでいた。
このまま突っ立っている訳にはいかないと思い、一番前に停まっていたタクシーに乗り込み運転手に行き先を告げ、窓の外に視線を向けて流れる景色を眺めた。
「着きましたよ。」
運転手の声に促されて車内に視線を移し、爽やかな笑顔を向けてくる運転手に料金を支払いタクシーを降りた。
「まずは銀行よね……、」
ショッピングを楽しむためにはお金が必要だから、銀行へ立ち寄るために一人呟きながら歩き出した。
銀行まで出向くのは面倒だけど、クレジットカードは嫌いだから仕方がない。
余り無駄遣いは出来ないから、最低限の金額でショッピングを楽しまないとね。
目的の銀行に着いてバッグから通帳を取り出しATMで現金を引き出した後、通帳に記帳された残高を見て目を見開いた。
「っ、な、何これ……、どういう事?」
通帳を持つ手が驚きと戸惑いで震える。
先月末に通帳を記帳した時からは想像出来ない程の金額が、残高として記載されている現実に思考が停止した。
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