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《美桜、説明ありがとう。だいたいの事は分かったわ。》
「上手く説明出来なくてごめんなさい。とにかく私は『R』という人物から振込されていたお金を全て返したいの。だから結衣が協力してくれると嬉しい。」
《私が美桜からの頼みを断ると思ってるの?『R』を見つけるために協力するわ。》
「結衣、ありがとう。」
結衣が協力してくれる事になって本当に良かった。
今の私に人捜しをする力はないから、結衣に協力してもらいたくて連絡したけど、断られるかもしれないと思っていたから、結衣の言葉を聞いて凄く安心した。
《でも、どうして『R』が蓮だと思うの?蓮のイニシャルが『R』だから?》
「確かにイニシャルの事も理由の一つだけど、一番の理由は手紙から蓮の声が聞こえた気がしたから……、」
《……え、蓮の声が?》
「ええ、手紙から声が聞こえる訳ないのにね?ふふ、私ったら馬鹿みたいでしょう?」
小さく笑いを零し携帯を耳に当てたまま、テーブルの上にある手紙に視線を移した。
《馬鹿なんかじゃない。美桜が『R』を蓮だと思うなら間違いないわ。》
「結衣、私の勘なんて当たらないわよ?」
《いいえ、絶対『R』は蓮よ。》
何の根拠もないのに、間違いないと言い切った結衣を不思議に思いながらも、昔と変わらず強い心を持つ結衣に嬉しさを感じた。
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