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「結衣。話の続きなんだけど、蓮が『R』なのか結衣に確かめてもらいたいの。」
《私が確かめるの?》
「ええ。私は蓮に会えないから結衣に確かめてもらって、もし『R』が蓮なら、結衣からお金を返してもらいたいの。」
私は蓮と別れたんだから、もう二度と会えない。
蓮を捨てた私には、会う権利さえないから。
《それは出来ないわ。》
「っ、どうして?」
《蓮の性格は知っているでしょう?どんなに小さな話でも、第三者からの話には耳を傾けないって……、蓮が『R』だとしても、美桜が直接聞かないと絶対に認めないわ。》
「……」
幼い頃からずっと傍に居たから、蓮の性格は誰よりも知ってる。
でも蓮に別れを告げた日に、もう会わないって約束したの。
だから会えない。
《ねえ、美桜?一週間後に蓮の自宅でパーティーがあるんだけど……、》
「パーティー?」
《ええ、蓮の婚約披露パーティーよ。》
「……婚約、そう。」
結衣が口にした『婚約』の言葉に胸が締め付けられた。
蓮に恋人が居る事は知っていた。
近々その女性と婚約するという事も。
噂で聞いても平気だったのに、結衣から直接聞くだけでこんなにショックを受けるなんて、別れて十年も経つのに今だに蓮を想ってる自分が嫌になる。
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