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「結衣さんがお戻りになったので、私はこれで失礼致します。美桜お嬢様、ご連絡お待ちしています。」
「ええ。多恵さん、お話に付き合ってくれてありがとう。必ず連絡するわ。」
多恵さんは私の言葉に笑顔で頷き、静かに部屋を出て行った。
「美桜。多恵さんと何の話をしてたの?」
「たいした話ではないの。昔話をしていただけよ。」
「……そう、」
多恵さんから言われた事を結衣に話すつもりはない。
もし結衣に話したら、多恵さんの味方をして、私が断れない状況を作ると思うから、それだけは避けたい。
結衣、ごめんね。
多恵さんの気持ちに向き合うために一人で考えたいの。
「……ところで、聖也君は?」
「あ!!聖也の事、すっかり忘れてたわ!!美桜。聖也が迎えに来るから、着替えて出掛けるわよ!!」
「今から?」
「当たり前でしょう?パーティー用のドレスを準備したり、蓮に接触する作戦を練ったり、色々忙しいんだから!!とにかく、今すぐ着替えて!!」
「う、うん。分かった。」
結衣ってば、相変わらず周りを振り回すのが得意なのね。
着替えるって事は、今着てる洋服は駄目って事なの?
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