せいちゃん

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着替える洋服を決めるためにバッグを開けてみたけど、似たようなデザインのワンピースしかない。 食事するだけなら、今着てるワンピースでも大丈夫だと思うんだけど……。 「美桜、どうかした?早く準備しなさいよ。」 「うん。それは分かってるけど、着替えないと駄目なの?」 「もしかして、洋服を持って来てないの?」 「いいえ、少しは持って来たけど全部ワンピースだから、どれを着ても同じだと思うの。」 「そうなの?ちょっと見せて!!」 結衣は私のバッグを手に取り、中に入っていた洋服を引っ張り出した。 「ね?似たようなデザインばかりでしょう?」 「……そうね、どのデザインも蓮が好きそうね?」 「っ、」 そんなつもりで買った訳じゃないけど、確かに蓮が好みそうなデザインばかりかもしれない。 蓮が似合うと言ってくれたワンピースを着ているのは、昔からの癖みたいなもので、蓮を意識して買ってる訳ではない。 でも結衣の言葉に何も言い返せないのは、今でも蓮を想ってるから……。 「美桜、泣きそうな顔しないの!!まあ、いいわ。この白のワンピースに着替えて!!」 「うん、分かった。」 結衣の大きな声のおかげで、溢れそうになっていた涙が止まった。
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