103人が本棚に入れています
本棚に追加
着替える洋服を決めるためにバッグを開けてみたけど、似たようなデザインのワンピースしかない。
食事するだけなら、今着てるワンピースでも大丈夫だと思うんだけど……。
「美桜、どうかした?早く準備しなさいよ。」
「うん。それは分かってるけど、着替えないと駄目なの?」
「もしかして、洋服を持って来てないの?」
「いいえ、少しは持って来たけど全部ワンピースだから、どれを着ても同じだと思うの。」
「そうなの?ちょっと見せて!!」
結衣は私のバッグを手に取り、中に入っていた洋服を引っ張り出した。
「ね?似たようなデザインばかりでしょう?」
「……そうね、どのデザインも蓮が好きそうね?」
「っ、」
そんなつもりで買った訳じゃないけど、確かに蓮が好みそうなデザインばかりかもしれない。
蓮が似合うと言ってくれたワンピースを着ているのは、昔からの癖みたいなもので、蓮を意識して買ってる訳ではない。
でも結衣の言葉に何も言い返せないのは、今でも蓮を想ってるから……。
「美桜、泣きそうな顔しないの!!まあ、いいわ。この白のワンピースに着替えて!!」
「うん、分かった。」
結衣の大きな声のおかげで、溢れそうになっていた涙が止まった。
最初のコメントを投稿しよう!