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「美桜。聖也が迎えに来るから行くわよ?」
結衣は、いつの間に着替えたのかな?
過去を思い出して感傷に浸っていたから、全く気付かなかった。
「うん、分かった。」
結衣の言葉に笑顔で頷き、バッグを手にして部屋を出た。
それにしても、結衣のスタイルの良さは十年前と全く変わらない。
モデル並に高い身長に黒髪ストレート。
今日は洋服を着ているけど、着物姿の結衣は日本人形みたいに綺麗なんだよね。
「……はあ。」
私は十年前と変わったかな?
童顔だった顔付きは年相応に見えるようになったと思う。
本当は、夜の世界に溶け込めるように薄茶色の髪を栗色にしようと思ったけど、パパとママが綺麗だと褒めてくれた髪だったから、どうしても変える事が出来なかった。
お化粧や服装で大人っぽく見えるかもしれないけど、心は子供のまま成長してない。
外見だけ大人になっても、心が成長しないと意味がないのに……。
「美桜、溜息ついてどうしたの?幸せ逃げるわよ?」
「うん、そうだね。ごめんなさい。」
「別に謝らなくてもいいのよ?冗談なんだから。あ!!聖也が来てる!!」
花が咲いたようにフワリと微笑んだ結衣が、ジッと見つめている視線の先を辿ると、王子様のような容姿の聖也君が門の前に立っていた。
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