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「あの……、せいちゃん?」
「ん?みい、どうかした?」
「……」
息苦しくなってきたから、腕の力を緩めて欲しいなんて言えない。
せいちゃんが私を抱き締めるのは昔からの癖みたいなもので、親しい人に対するスキンシップだって分かってるから。
でも、抱き締められたままで居るのは恥ずかしい。
「聖也。美桜は離れて欲しいのよ。分からないの?」
「え?あ、ああ。みいに逢えた事が嬉しくて、昔の癖が出てしまったみたいだ。みい、ごめんね?嫌だった?」
「う、ううん!!せいちゃんに抱き締められると安心するから嫌じゃないよ!!凄く嬉しい。ただ、少し恥ずかしかっただけ。ごめんね?」
せいちゃんに抱き締められるのが嫌だなんて、小さい頃から一度も思った事ない。
それだけは、ちゃんと分かって欲しい。
「ははっ、そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう。みいは相変わらず可愛いな?」
「そうでしょう?十年前と変わってないわ。凄く可愛い!!」
せいちゃんと結衣は、満足げに頷いている。
私は、全身真っ赤になるくらい恥ずかしいのに……。
ストレートに言葉を伝えてくれるのは嬉しいけど、大人になると素直に受け取れなかったりする。
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