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「みい、大丈夫だから出ておいで。」 私に向かって差し出されたせいちゃんの手を握って蓮の前に足を進めた。 「れ、蓮――…。」 どうしよう。 冷静になるって決めたのに声が震える。 「美桜、久しぶりだな。」 蓮は震える声で名前を呼んだ私に優しく微笑みかけると、ソッと私の頬を撫でた。 「っ、お、お久しぶりです。」 いきなり頬を撫でられた事に焦ってしまい、思わず敬語になってしまった。 どうしよう。 怖さは無くなったけど凄く緊張してきた。 「美桜。」 蓮、止めて……。 低くて甘い蓮の声で名前を呼ばれたら泣きそうになる。 今日は一日笑顔でいるって強く決心したのに、蓮の一言で崩れてしまう。 ずっと心にあった想いを伝えたくなってしまう。 それだけは絶対に駄目。 婚約パーティーを壊すような事を考えている以上、もう此処には居られない。 早く『R』の事を聞いて帰ろう。 「蓮、あのね?今日は蓮に聞きたい事があって来たの。」 「俺に聞きたい事?」 「……うん。それを聞いたらすぐに帰るから、少しだけ話す時間が欲しいの。」 「ああ、分かった。話は聞くが帰さない。」 「え?」 今、帰さないって言ったの? どうして? 蓮は幼なじみとして婚約を祝って欲しいって思ってるの?
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