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婚約披露パーティーが終わって『R』の事を確かめたらすぐに帰ろう。
そしてもう二度と蓮達の前に姿を現さないようにする。
この地で長く過ごしていたら、蓮と婚約者が寄り添って歩く姿を目撃するかもしれない。
それだけは絶対に嫌。
自分勝手だって事は分かってるけど、私の場所だった蓮の隣を歩く女性の姿なんて見たくない。
「美桜、大丈夫?顔色悪いわよ?」
「うん、大丈夫。でも早く帰りたい。」
「蓮が帰してくれたらいいけど、さっきの様子だと無理じゃないかしら?」
「蓮の言う通りには出来ない。私にも生活があるの。これ以上は仕事を休めない。」
「それは分かるけど、蓮が本気を出したら私と聖也には止められないわよ?」
「うん、分かってる。自分で断るから心配しないで。」
もう蓮の恋人じゃないんだから我が儘に付き合うなんて無理。
私は『R』の事について話に来ただけなんだから、帰さないって言われてもはっきり断ってみせる。
もう昔の私じゃないんだから大丈夫。
「皆さん、お待たせしました。」
「みい、婚約者が登場するみたいだよ?大丈夫?」
「うん、大丈夫。せいちゃん、心配してくれてありがとう。」
私を気遣ってくれるせいちゃんに笑顔で頷き、マイクを手にして話し始めた蓮に視線を移した。
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