願い

10/12
前へ
/28ページ
次へ
『あの人』には佐久間家と並ぶぐらいの力がある。 もし蓮に何かあれば私は壊れてしまう。 今の私には蓮より大切なものなんて無いから。 「美桜、大丈夫だ。明日、聖也と結衣にも話す。あの二人にも知る権利がある。」 「蓮――…。」 せいちゃんと結衣が『あの人』の存在を知ったら、どんな行動に出るかは分かってる。 私を心から大切に想ってくれている二人を巻き込みたくない。 「お、お願い。せいちゃんと結衣には話さないで。」 「駄目だ。美桜を守るには二人の協力が必要になる。」 「私の問題だから誰も巻き込みたくないの。蓮を巻き込むのも嫌!!」 「美桜、もう全て動き始めてる。今更止める事は出来ない。」 「っ、や、止めて!!私は大丈夫だから何もしないで!!」 どうして私の気持ちを分かってくれないの? 私は蓮が幸せで居てくれたらそれでいいの。 私なんてどうなってもいい。 だから危ない事なんてしないで欲しい。 『あの人』と対立したら蓮に危害が及ぶかもしれない。 それだけは絶対に嫌なの!! 「蓮、私の気持ちを分かって欲しい。本当に止めて!!お願い……。」 胸が苦しい。 蓮が『あの人』に傷付けられる事を想像しただけで涙が溢れてくる。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加