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「……う、ん……っ、」
何だか身体中が温かい。
カーテンの隙間から光が漏れてるから朝だって事は分かるけど、ポカポカして気持ちいいからまだ眠っていたい。
もう少しだけこの温かさに包まれていたい……。
「美桜、朝から誘ってるのか?」
「……え?」
誘ってるって何?
今のは誰の声?
「美桜、寝ぼけてるのか?」
「えっと……、蓮?これって夢?」
何度も目を擦って瞬きをしてみたけど、私の身体を抱き締めている蓮の姿は消えない。
寝起きで思考回路が上手く働かないから、この状況の意味が分からない。
「ふっ、夢じゃない。俺が美桜を抱き締めて眠ったのは現実だ。」
「……あ、」
昨日からの出来事を全て思い出した。
そう、これは現実。
冗談や夢なんかじゃない。
「美桜、やっと目覚めたみたいだな?」
「うん。おはよう、蓮。」
「ああ、おはよう。」
私の頭を撫でながら頬にキスをする蓮の表情は、朝だというのに甘く優しい。
凄く対応に困る。
昨夜は悩んで泣いてばかりだったのに、私に向けられる蓮の優しい微笑みを見ただけで幸せな気持ちになる。
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