甘いキス

7/16
前へ
/28ページ
次へ
暫く蓮の温かな腕に包まれていると、涙も止まり落ち着きを取り戻してきた。 蓮の強引さに流されてしまった自分が情けないけど、大人として扱うという意味が何を指していたのか分かった。 「美桜、大丈夫か?」 「……うん、ごめんなさい。もう大丈夫。」 「そうか。」 蓮は笑顔で頷いた私の頭を撫でながら安心したように微笑んだ。 「蓮、どうしてキスしたの?」 「ん?大人の扱いしていいって言っただろ?」 「っ、そ、そういう意味で言ったんじゃないの。」 私の唇に触れる蓮の指先の動きが気になって声が上擦る。 「それならどういう意味で言ったんだ?」 「そ、それは……、」 どうして唇に触れてるの? もしかして蓮の言葉や行動に一喜一憂する私を見て楽しんでるの? 「美桜、キスが嫌だったのか?」 「え?」 「俺とキスするのは嫌なのか?」 「……」 嘘でも嫌だって言えない。 ううん、言いたくないって心が叫んでる。 「美桜、嫌ならはっきり言ってくれないか?美桜が拒否するならキスはしない。」 そんな言い方するなんて狡い。 私が今でも蓮を想っている事に気付いてるから、絶対に拒否しないって思ってるんだね。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加