86人が本棚に入れています
本棚に追加
暫く蓮の温かな腕に包まれていると、涙も止まり落ち着きを取り戻してきた。
蓮の強引さに流されてしまった自分が情けないけど、大人として扱うという意味が何を指していたのか分かった。
「美桜、大丈夫か?」
「……うん、ごめんなさい。もう大丈夫。」
「そうか。」
蓮は笑顔で頷いた私の頭を撫でながら安心したように微笑んだ。
「蓮、どうしてキスしたの?」
「ん?大人の扱いしていいって言っただろ?」
「っ、そ、そういう意味で言ったんじゃないの。」
私の唇に触れる蓮の指先の動きが気になって声が上擦る。
「それならどういう意味で言ったんだ?」
「そ、それは……、」
どうして唇に触れてるの?
もしかして蓮の言葉や行動に一喜一憂する私を見て楽しんでるの?
「美桜、キスが嫌だったのか?」
「え?」
「俺とキスするのは嫌なのか?」
「……」
嘘でも嫌だって言えない。
ううん、言いたくないって心が叫んでる。
「美桜、嫌ならはっきり言ってくれないか?美桜が拒否するならキスはしない。」
そんな言い方するなんて狡い。
私が今でも蓮を想っている事に気付いてるから、絶対に拒否しないって思ってるんだね。
最初のコメントを投稿しよう!