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「蓮、遅くなってごめんなさい。お待たせしました。」
部屋から出て長い廊下を歩き、玄関に立つ蓮の後ろ姿を見て声を掛けた。
「美桜。」
私の声に気付いて振り向いた蓮の向こう側には、一人の男性が立っていた。
どうしよう。
蓮の他に人が居るなんて思ってなかった。
「お話し中だったのに声を掛けてしまってごめんなさい!!」
慌てて二人の元に駆け寄り頭を下げた。
「美桜、謝らなくていい。世間話をしていただけだ。」
「でも……、」
「とにかく、頭を上げろ。」
「……はい。本当にごめんなさい。」
蓮の声に促されて頭を上げたけど、自己嫌悪に陥った気分は浮上しない。
「美桜、俺の秘書を紹介しておく。佐伯文弥(サエキフミヤ)だ。」
「美桜様、初めまして。お会い出来て光栄です。」
私に向かって優しく微笑み頭を下げた男性は、婚約パーティーの会場を出る時に蓮が声を掛けていたた男性だった。
「佐伯さん。お話するのは初めてですけど、お会いするのは二度目ですよね?昨日の婚約パーティーでは御迷惑をおかけしました。綾瀬美桜と言います。宜しくお願いします。」
佐伯さんに笑顔を向けて頭を下げると、驚いた表情で目を大きく見開いた。
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