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「先程の゙会話禁止"は蓮様の嫉妬心から出た言葉です。」
「嫉妬心?」
「はい。私が美桜様と楽しく会話していた事が蓮様の嫉妬心を煽ったんです。」
秘書である佐伯さんと私の会話に蓮が嫉妬した?
蓮も側で会話を聞いていたのに嫉妬するなんて子供みたい。
「佐伯、余計な事を言うな。」
「ふっ、申し訳ございません。」
佐伯さんは不機嫌そうに眉を寄せる蓮の姿にも動じず、柔らかな微笑みを浮かべている。
自己中心的で王様のような蓮を上手く扱うためには、佐伯さんのように余裕がないと難しいのかもしれない。
私が蓮に反論するために必要な事を、佐伯さんから伝授してもらおうかな?
「美桜、何を考えてる?」
「え?」
「今、考え事をしていただろう?」
「う、ううん。何も考えてない。」
絶対に言えない。
本当の事を言ったら蓮に何をされるか分からない。
「俺に言えないような事を考えていたのか。そうか……、」
「れ、蓮?」
「……」
蓮は私の呼び掛けを無視して目を閉じている。
何を考えているのか分からないから怖い。
緊張から心拍数が上がって落ち着かない。
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