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「俺は二度と美桜を離さない。何が起ころうと絶対に。」
「……」
私を見つめる蓮の鋭い視線から逃れるように俯いたけど、高鳴る鼓動は抑えられない。
このまま蓮の側に居られたら凄く幸せだと思う。
でもそれだけは無理なの。
私は『あの人』の人形だから命令に背く事は許されない。
『あの人』から解放されたくて必死に働いてお金を稼いでいるけど、やっぱり私一人の力ではどうする事も出来ない。
もしこのまま蓮の側に居たら私の問題に巻き込んでしまう。
蓮を愛してるから守りたい。
傷付けたくないの。
『あの人』が蓮の存在に気付く前に家へ帰らないといけない。
「美桜、何も考えるな。」
「っ、蓮――…。」
「大丈夫だ。何も心配しなくていい。もうシャワーを浴びて休め。」
「……」
私が何に悩み苦しんでいるのかを知らないのに、心配しなくていいなんて言わないで欲しい。
そんな簡単な問題じゃないの。
「美桜は寝室のシャワーを使え。俺は別室でシャワーを浴びて来る。いいな?」
「……はい。」
部屋を出て行く蓮の姿を見送った後、シャワーを浴びるために寝室へ向かった。
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