願い

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「……はあ。」 広くて豪華なバスルームを見回しながらバスタブに身体を沈め、お湯に浮かぶ真っ赤な薔薇の花びらを指先で摘んで溜息をつく。 こんなに大量の薔薇をいつの間に準備したのかな? 薔薇って凄く高価なのに、私一人のために何本も薔薇を購入するなんて、蓮の金銭感覚は普通じゃない。 確かに薔薇の香りの入浴剤を使用するより、生花の方が香りも良いし凄くリラックス出来るけど、薔薇一本の金額を考えると緊張する。 でも薔薇の花びらが浮かぶバスタブは女性の憧れだから、ゆっくりバスタイムを楽しみたい気持ちもある。 こんな風に癒されてる場合じゃないのに……。 「……はあ。」 色々考えすぎて頭が痛い。 今日は疲れたから『R』や婚約の事を考えるのは明日にしよう。 本当は今すぐにでも『R』の事を蓮に確かめたいけど、結衣とせいちゃんが一緒に居ないと不安だから、蓮と話すのは明日まで我慢するしかない。 結衣の家から出発する時は気合い十分だったのに、蓮を前にすると臆病になってしまう。 蓮に反発して言い返したりするのは子供の頃から苦手だったけど、大人になっても変わらないなんて情けない。
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