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蓮は私が強く言い返せない事を分かってるから、あんなに余裕なんだと思う。
何だか子供扱いされているみたいで悔しい。
十年経って少しは大人になったつもりでいたけど、大きな間違いだったかもしれない。
せいちゃんと結衣に心配されて守られて、蓮には上手く言いくるめられるなんて、どう考えても子供だよね。
「……はあ。」
薔薇の香りに癒されてたはずなのに、考えれば考える程気分が沈む。
髪や身体を綺麗に洗っても全くスッキリしない。
もう嫌!!
シャワーを手に取り身体の泡を流しバスルームを出た。
「美桜、遅かったな。のぼせてないか?」
「う、うん。大丈夫。」
用意されていたパジャマを着て寝室に戻ると、ベッドの背もたれに身体を預けて本を読んでいた蓮が話し掛けてきた。
蓮はまだバスルームに居ると思ってたから驚いた。
私、心配される程長湯だったのかな?
「美桜、寝るぞ。ベッドに入れ。」
「う、うん。」
どうしよう。
蓮が寝室へ来る前に寝ようって思ってたのに、先にベッドの中に入ってるなんて最悪な展開。
緊張し過ぎて近付けない。
こんな状況になるって分かってたら、バスルームで考え事なんてしなかったのに……。
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