86人が本棚に入れています
本棚に追加
「それが美桜の願いなのか?」
「え?」
怒っていると感じた蓮の表情から悲しみが伝わってくる。
蓮、そんな顔しないで。
「そこまでして俺から離れたいのか?」
「っ、それ、は……、」
どうしよう。
これ以上側に居たら蓮への想いを抑えられなくなるから、少しでも距離を置きたかったのに。
上手く言い返せない。
「美桜、正直に答えてくれ。俺が嫌いか?」
「っ、」
小さい頃から大好きだった蓮を嫌いになるなんて有り得ない。
愛してる。
今でも愛してるの。
「美桜、もう一度聞く。俺が嫌いか?」
「き、嫌いじゃない。だって蓮は幼なじみだから……、」
「ああ、そうだな。」
本当は愛してるって叫びたい。
胸に秘めている想いの全てを蓮に伝えて抱き締めて欲しい。
でも私には無理なの。
ごめんなさい。
ごめんなさい、蓮。
「俺を嫌いじゃないならそれでいい。一緒に寝よう。」
「で、でも……、」
「俺達は幼なじみだよな?昔のように幼なじみとして一緒に寝よう。美桜、それなら問題ないよな?」
「……はい。」
やっぱり蓮には勝てない。
昔の事を持ち出されたら何も言い返せないし、幼なじみだと言ったのは私だから。
最初のコメントを投稿しよう!