願い

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「美桜、苦しくないか?」 「うん、大丈夫。」 蓮はベッドに入った私を腕の中に閉じ込めるように抱き締めた。 幼なじみの男女が抱き合って眠るなんて、普通では考えられない事だと思うけど、私達は昔からこうして一緒に眠ってた。 私を守るように包んでくれる蓮の逞しい腕が小さい頃から大好きだった。 ううん、過去形なんかじゃない。 今でも大好き。 私にとって蓮の腕の中だけが唯一安心出来る場所なの。 「美桜、眠いか?」 「ううん、まだ眠くないけど……、」 「そうか、話がある。聞いてくれるか?」 「うん、どんな話?」 本当は瞼が重くなってきてるけど、少しでも長く蓮の声を聞いていたい。 離れていても忘れないように、しっかり耳に残しておきたい。 「美桜が俺との婚約を拒む理由は分かってる。」 「……」 「俺は馬鹿じゃない。全て知っていて美桜との婚約を決めた。」 「っ、」 もしかして蓮は『あの人』の存在を知っているの? 私が『あの人』から出されている条件や契約の事も知っているって事? 「美桜、もう一人で苦しまなくていい。俺が全て片付けてやる。」 「蓮――…。」 「美桜を傷付けるもの全てから守ってやる。だから何も心配するな。お前は俺の側で笑っていればいい。」 「で、でも……、」 私は『あの人』と契約を交わしているから、簡単に破棄する事は出来ないはず。
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